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天声人語&世説新語

覇者の交替・・・その五

 屈辱的な返済条件で、イギリスが米国の条件緩和を求めるしかありません。経済学の泰斗ジョン・メイナード・ケインズが渡米をし、4ヵ月かけて米国との間に「米英金融協定」(「米英借款協定」とも呼ばれる)を締結しました。ポンドは他の外貨との自由交換、米国の主導下において国際貿易組織の設立、イギリス勢力範囲内の帝国特別税率を引き下げる、無条件で米ドルを世界基軸通貨としての「ブレトン・ウッズ体制」を受け入れるなどなど、戦後不景気に陥ったイギリスに50年間2%の低金利融資でイギリスの財政を援助する代わりに、米国がイギリス権益を弱体化させることに成功しました。また、米国の支援でパキスタンを含むイギリス領インド帝国の独立も加速させました。イギリス勢力が撤退したギリシャでの役割も米国が担うことになります。

 協定を1945年末に結んだのですが、国会の承認などを理由に肝心の金融支援は7ヵ月後に始めるので、低金利融資も1950年からと約束をしたため、「今晩の飯」と喫緊の経済課題にイギリスは大英帝国領のカナダに借金を依頼することになりました。宗主国に逆らえませんが、自国の財政も苦しいので、カナダもアメリカの助けを求めました。絶好のチャンスに捉えた米国がカナダの権益の献上も迫りました。

 米英両国間の金融協定だけだと錯覚を起こしやすのですが、「金融・通商」を一括で米国の思惑通りで、戦前のイギリス主導から戦後秩序のアメリカ主導に切り替えました。いわゆる「太陽の沈まない」イギリス帝国からアメリカ帝国へと移っていきます。

 

 

株式会社中和 ラッキー プリント 社員一同

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