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2022年3月

民主主義・資本主義の根幹(下)

事例3、スポーツと政治は切り離し

 国際パラリンピック委員会(IPC)は北京大会のロシア及びベラルシ選手の参加資格を剥奪したことにまだ記憶に新しいと思いますが、2月28日にFIFA(国際サッカー連盟)とUEFA(欧州サッカー連盟)は傘下主催の試合にロシアのすべてのチームの参加を許さないと発表しました。F1のロシアGPも開催契約を解除されました。世界テコンドー協会も2013年にプーチン大統領に授与した「名誉黒帯9段」を撤回しました。

事例4,芸術は国境を超える

 英国の観客が「彼らの過ちではなく、罰を与えるべきではない」、「バレエ団の人々は実際に戦争と無関係」という声も空しく、ロシア国家バレー団のイギリス公演をキャンセルされました。ドイツのミューへ・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者で、ロシア出身のワレリー・ゲルギエフがウクライナ情勢に対しての明確な意思や立場を表明せずという理由で、解雇されました。あるイタリアの大学がロシア文学作品を取り上げないこともネット批判を浴びています。

事例5,患者さんの権利皆平等

 腫瘍関連の国際NPO組織「OncoAlert)が「我々は政治団体ではないが、ロシアの侵攻に無視できない」と声明を発表し、ロシア国内の提携や共同研究を停止し、腫瘍専門医への学術指導や患者さんへの医者紹介、治療サポートも制裁の一環としてやめました。「医療従事者は国籍と政治信仰で自らの医療行為を干渉すべきではない」と医学生なら誰でも宣誓した「ヒポクラテスの誓い」も離反されてしまいました。

事例6,永久中立

 EUの加盟国ではないですが、米国とEUの批判に屈した形になりますが、EU2月28日に、スイス連邦政府の大統領、イグナツィオ・カシスは第二次世界大戦以来の「中立」を放棄し、ロシア制裁に加わったと宣言しました。中立であるはずのスイス銀行も・・・。ロシアと長い国境線を有するフィランド共和国も、「中立」の立場を捨て、ウクライナへの武器、弾薬を供給すると発表しました。

 

 

株式会社中和 ラッキー プリント 社員一同

 

民主主義・資本主義の根幹(上)

 ロシアがウクライナに侵攻し、熱戦を繰り広げると同時に、西側諸国、主に米国が主導するNATO加盟国らはウクライナの外で、拳を握てロシアへの報復の度合いも増しています。もちろんその制裁は政治、経済、外交、金融、世論、文化とあらゆる分野で行われているので、ロシアに強力なパンチを加えるに間違えがありませんが、エネルギや原材料の調達の混乱、航空航海の自由度を損ね、悪性インフレの蔓延など、自分も相当に苦しめられることになります。やがては地球規模の同時不況に陥り、皆「敗者」になり、穀物や物価の高騰で貧乏の国や地域に食料を回すことも困難になります。

 アメリカの号令で、価値観の共有を唱えるのがいいですが、米国金利の上昇により、資金が米国に戻ってしまい、基軸通貨のアメリカドルが各国の利益を収穫し、ウール街が潤います。また、武器供与も盛んになり、米国の軍事産業も潤います。同盟国らは数々の試練を乗り越えなければなりませんが、米国の一国勝は目に見えます。

 さて、対ロ制裁という「政治正確」の元に民主主義・資本主義の根幹を揺るがす事態はすでに起きています。

事例1、私有財産の不可侵

 EUはロシアの富豪らに対して、制裁の実施に当たって、510人の実名を上げました。フランスやドイツはロシア個人の豪華ボードを抑えました。イギリスは「不明財産令」(UWOS)を発動し、より簡単に犯罪者の資産を抑えることができるようになりました。しかもその財産は犯罪活動のため、得られたのかどうかを証明しなくても良いと言います。

事例2、言論の自由

 YouYube、Facebookなどが代表するソーシャルメディアはロシアのネット上の声を審査し、自分に不利な情報を封じます。Googleはロシアの国営メディアの営業広告を禁止します。Twitterもロシア国営メディアからツイートを特別な印を表記します。EU、イギリスはロシア・トゥデイ(RT 今日のロシア)とロシアの衛星通信社(Sputnik)に対して、禁止令を出しました。欧米は政府の力でロシアの世論を封じ込みます。

 

 

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制裁という「処方箋」

 ロシアはウクライナへの侵攻に一歩をはみ出した後、米国主導の「国際社会」は国連での糾弾や政治、経済、金融、文化、スポーツなどあらゆる分野での制裁を発動し、直接軍事介入を除き、極力までロシアに打撃を加えようとしますが、数日前、更にアメリカはロシアから石油と天然ガスの輸入禁止に踏み切りました。エネルギのロシア依存が強いヨーロッパーに対しても、「足並み揃える」ようにと強要しました。

 米国のロシアエネルギ依存は僅か3%前後に対し、ヨーロッパ多くの国々は石油や天然ガスの埋蔵量が世界一のロシアに頼っています。エネルギ事情は米国と大きな違いがあり、「大義名分」の前、米国の要求に断るわけには行かないでしょうが、安易に承諾すると、EU27カ国、工業生産、発電や暖房などロシアの安価の石油と天然ガスをかなり依存しているので、急に米国の高価のLNG(圧縮液体ガス)へ切り替えられないのも現状です。エネルギ供給は脱ロシアを今からやっても、時間がかかりますし、当面の間、エネルギの即ロシア離れもできません。「足並み揃う」というよりも、強力のアメリカパワーに圧倒され、自主性が乏しいヨロッパに見えてしまいます。

 では、天然ガスにおいて、ヨーロッパ各国のロシア依存度を見てみましょう。

 デンマーク、アイルランド、オストリア、スウェーデンは0%で。全く依存していません。それと真逆に100%依存の国はスロベニア、セルビア、ルマニア、ブルガリア、スロバキア、エストニア、ラトビア、北マケドニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、モルドバです。主に東ヨーロッパの国々で、旧ユーゴスラビアから分離独立の国が目立ち、ロシアとの結びつきも強い国々です。そのほか、チェコ(99%)、フィンランド(97%)とハンガリー(94%)も高い依存になっています。

 それにつぎ、依存度の高い国はポーランド(73%)、ドイツ(49%)、イタリア(48%)、リトアニア(43%)、トルコ(34%)、ギリシャ(33%)、オランダ(30%)、ルクセンブルク(27%)、フランス(22%)、ベルギー(15%)、スペイン(10%)です。

 天然ガスのロシア依存は10%未満の国は産油国のイギリス(7%)とポルトガルです。総じて、ヨーロッパ全体がロシアへの天然ガス依存度の平均値は41%に上ります。

 長年の制裁によって、キューパもイランも北朝鮮も体制は健在です。ロシアの体制崩壊を夢見る米国がヒステリックな制裁を加えた行為は、石油・天然ガスの価格が高騰している中、米国産「シェル―ガス」が十二分の利益を確保でき、LNGガスの増産や輸出で、米国の一国勝を狙うのが見え見えですし、それこそ「アメリカンファスト」なのです。

 

 

株式会社中和 ラッキー プリント 社員一同

キューパ危機とウクライナ危機・・・その十(終)

 残念ながら、「逆キューバ危機」とも言われる今回の「ウクライナ危機」は熱戦となりました。

 ウクライナ侵攻の回避はほんとうにできないでしょうか。ロシアの安全保障上の一番の懸念、NATOの勢力図をウクライナまで及ぶことです。ロシアの切実な利益を考慮し、西側諸国が価値観の「宣教」をせず、ウクライナに非現実的な約束をしなければ、熱戦に至ることもないだろうと思います。

 また、西側諸国が共同防衛を覚悟したうえ、ウクライナにNATO加盟の「アメ」を提供するなら、ウクライナの国境の外で、俺らだけが国際秩序やモラルを代表するかのように制裁と非難決議などのロシアいじめを発動し、人道支援を留めることもないだろうし、火を起こした張本人は「手を貸さないが、武器を提供する。お前は戦え」とウクライナを捨てコマにしたことも米国やEUもモラルを問われるのではないでしょうか。

 ドイツの方向転換で、ウクライナに武器供与を決めたことが西側のメディアに注目されました。旧東ドイツに配備されたソ連時代のものなので、数十年経た今、「生きるか死ぬか」の戦いに機能するがどうかも不安視される装備、「在庫処分」とも言えるような支援を果たしてウクライナが望んでいるのでしょうか。

 このような応急措置をやるのであれば、ウクライナも含め、最初からロシアへの挑発や挑戦をするなと言いたくもなります。特に北京冬オンリンピック期間中において、今か今かと米国が戦争を煽るような発表が連日にあり、戦争を察知や予告する暇があれば、「キューバ危機」のソ連第一書記のようにウクライナをNATOに入れないとロシアに譲歩さえすれば、確実に戦争が免れます。
 

 民主主義の価値を納得し、追い求めるのが悪いことではないですが、西側陣営に翻弄や利用される存在になってはならないし、隣の大国ロシアとどう付き合うのか、地政学上においても、ウクライナに限らず、常に問われる問題です。親欧米一辺倒も親ロシア一辺倒もウクライナ国民にとって幸せにならないし、特に西側の力を借りながら、ロシアを牽制や刺激するような行動を慎むべきです。安全保障は「遠交近攻」で、他の国に頼るものではなく、自らの知恵で勝ち取るものだと思います。いかに中立を保ちながら、国民が平和的に暮らすことを大前提に諸大国と良い距離感、良いバランスで付き合っていくのが大事ではないでしょうか。

 

 

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キューパ危機とウクライナ危機・・・その九

 時のソ連第一書記フルシチョフはそれを脅威と看做し、米国への反撃を企てていました。ちょうどキューバ―革命で社会主義政権を樹立したフィデル・カストロは、米国の顰蹙を買い、米国との対立が続き、安全保障上の理由もあって、ソ連と急接近しました。大陸間ミサイルが開発される前の時代ですので、米国にもミサイルの脅威を味わわせるため、キューバ配備はもっとも効果を発揮できるとフルシチョフが考えました。キューバにとっても米国からの侵攻を食い止めるため、ミサイルが必要と感じています。そこでソ連とキューバの利益が合致しました。

 キューバのミサイル基地が発覚された後、更なるミサイルの搬入を阻止するため、アメリカがキューバをソ連から隔離し、海上封鎖を敢行しました。一触即発の事態で、人類に二大核大国の核戦争にもっとも近い13日間と言われています。ミサイルの撤去を巡って、時のケネディ米大統領とフルシチョフ書記との間にホットラインが設置され、書簡によるやり取りも行いました。交渉の結果、アメリカがキューバの武力侵攻をしないという前提で、ソ連もミサイルを撤去しました。書面上の約束を交わしているわけではないですが、ソ連がキューバから攻撃ミサイルを撤去した後、米国も密かにイタリアとトルコに配備したミサイルを撤去しました。

 今から「キューバ危機」を振り返ると、映画化にもされ、人類の滅亡から救う物語のように讃えられていますが、大国と大国との間に挟まれる小国の命運も興味深いものがあります。危機回避後、もっとも怒っているのはキューバ第一書記カストロです。米国の海上封鎖は「主権侵害」と主張しても、無視されましたし、「キューバ防衛」という名目でミサイルの設置を持ちかけられましたが、米国の固い意志に屈服したソ連によって、なんの相談もなくそれを撤去させられました。そこに大国間の政治に踊らされた小国、大国に自律的か強制的に従わざるをえないという国際政治の現実があります。60年後の今日、小国の宿命は変わったのでしょうか。答えはもちろんNOです。

 しかし「キューバ危機」は一時的にケネディも空爆の実施を考えましたが、結局、熱戦になりませんでした。

 

 

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キューパ危機とウクライナ危機・・・その八

 クリミアと同様、ウクライナ東部のドンバス地域にあるドネツクとルガンスク2州も、ロシア系住民が多く生活する地域で、2014年に親欧米政権が誕生したことに反発し、親ロシア派は「ドネツク共和国」と「ルガンスク共和国」と称し、実行支配してきました。ロシア本土とクリミア半島を隔てるケルチ海峡に架けられる鉄道・自動車道兼用の「クリミア橋」も現在建設中で、着々とロシアによる支配を進めています。

 いずれもロシア住民の保護という理由で、ロシアが併合や独立を承認という形になりますが、国際法上、「重大の迫害を長期間にわたって被ってきたような場合、民族自決その権利を認める」と見解が相違するところで、ロシアの主張に無理があると見ている学者は政治家も多くいますが、法を順守するという意味で、ごもっともかもしれません。しかし、その国連憲章の条件を満たすため、多くのロシア系住民を長年に迫害を受けなければならないという前提を考えると、ロシア政府が未然を防ぐための行動も理解できないことではありません。

 今回のウクライナ侵攻も同様、人道危機が伴う戦争行動なので、決していい解決方法とは思いませんが、NATOに喉元に剣を突き刺されそうになるロシアが、退くにも退けなく、やむを得ず「未然を防ぐ」と躍起したと見る場合は、決して理不尽な判断だと思いません。

 冷戦真っ只中1962年10月に「キューバ危機」が勃発しました。当時ソ連がキューバに攻撃用ミサイルを設置したためとよく伝えられましたが、実は旧ワルシャワ条約機構加盟国に隣接し、対峙するNATOの加盟国、イタリア及びトルコにアメリカは先にミサイルを配備したことが発端でした。

 

 

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キューパ危機とウクライナ危機・・・その七

 皮肉なことですが、民主主義政権の誕生で、西側陣営も喜んで歓迎します。親欧米の閣僚人事を任命しましたが、肝心な改革が行わず、経済も依然として低迷でした。しかも選挙戦で共に戦った盟友ティモシェンコとの反目や対立の末、支持率が1桁に落ち込み、その結果、「革命」によって、大統領を失脚したヤヌコーヴィチは2010年の選挙で再び大統領就任の始末になってしまいました。

 2013年ウクライナはEUと政治・貿易協定の調印を控えて、ロシアとの関係の配慮で、政府が調印を見送りました。親欧米の野党勢力が猛反発しました。また、大規模な反政府デモが発生し、国内は騒乱に陥ります。2014年2月に入っても事態の収拾がつかず、ヤヌコーヴィチ大統領がロシアへ亡命しました。ウクライナ議会はヤヌコーヴィチ大統領の解任決議を行い、ウクライナに親欧米派のトゥルチノフが大統領代行となりました。

 クリミアも大きな支持基盤としたヤヌコーピチは、選挙で選ばれた合法的な大統領ですし、任期もあと一年しか残っていません。反政府デモを受け、譲歩姿勢も見せていました。立派な民主主義なら、1年後の選挙で正当な決着を付ければ、筋だと思いますが、どうも親欧米反政府勢力の一部が先鋭化し、激しいデモでヤコービィチ政権を追い詰め、体制を暴力的に打倒したことに後の国民統合にとって非常にマイナスに働くことになります。ヤコービィチは二度目の失脚になりましたが、後にこの「政変」を「尊厳革命」と美化されます。

 過激な右派政権が誕生した後、ウクライナにロシア系住民が生活基盤としている地域が多く存在しているにも関わらず、エスノナショナリズムが一層強くなって、ロシア系住民は肩身の狭い思いをするようになりました。特にクリミアが大きな支持基盤となった前政権が暴力的な「政変」に倒されました。クリミアの人々はウクライナのありようが勝手に決められてしまい、2級市民になるのではないかという危惧が生まれました。ロシア回帰の機運が高まり、2014年3月6日にクリミア議会はロシア連邦に加入する方針を決定し、3月16日住民投票を実施しました。投票の結果、95%以上の票がロシア編入を賛成しました。投票そのものもロシアの息がかかったものではと西側の憶測もありますが、事実はどうであれ、クリミア住民の心はすでにロシアに傾いていました。

 

 

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キューパ危機とウクライナ危機・・・その六

 さて、ウクライナについては、ヨーロッパの地図を見れば、ロシアに隣接している国々、北欧のフィンランド(中立国家)を除けば、ベラルーシとウクライナとロシアの国境線はもっとも長いです。ベラルーシはロシアの友好国なので、プーチンの脅威にならないですが、ウクライナはNATO加盟さえすれば、ロシアとの国境近くに欧米のミサイル配備が可能になり、モスクワなどロシア主要都市までの距離はわずか400キロぐらいで、喉元に剣が刺されていると安保上の危険をロシアが感じるのも無理がありません。

 20世紀ほぼ全部ウクライナは旧ソ連邦の一員で、連邦中においても、もっとも国土は大きい(ロシアに次ぐヨーロッパ2番目)、人口(4000万人)は多い加盟国です。クリミア半島と東部ドンバス地域の住民もほとんどロシア民族ですし、ウクライナもベラルーシもロシア同様、東スラブ民族に属しています。

 ソ連邦がばらばらになってから、2004年11月に親ロシアのヤヌコーヴィチ政権が誕生した結果への不満で、「オレンジ革命」が起こりました。親欧米の野党候補ヴィクルト・ユシチンコはヨーロッパ帰属を唱えて、与党陣営に選挙の不正を主張し、座り込みやストライキなどの抗議活動が広がりました。首都キエフ市内中心の独立広場はデモ隊が振るオレンジ色のマフラーで埋め尽くされました。マスメディアを通じて大きな関心を呼びました。

 連日与党へはロシア側、野党へは西側の肩入りする報道合戦が繰り広げられ、世界の世論を欧米が握っているため、一連の選挙が民主的ではないというスタンスを取った欧米側の報道に世界世論がなびきまして、ロシア側の行動や世論規制を加えた結果、再選挙の運びになりました。

 12月28日ヴィクルト・ユシチェンコは僅かの差で当選を果たしました。後に多くの外交官が「オレンジ革命」と回顧し、「不正ありき」に野党候補の敗北が分かった時点で、すぐさま抗議用テント村があちこち設置され、選挙の不正を主張するデモ隊が現れました。周到の準備と計画を事前に立てられたことが分かりますし、具体的に米国の投資家ジョージ・ソロス財団及び欧米の人権団体が後押しをしたことも分かっています。

 民主的に選挙操作した結果と言いますが、「民主的」によるクーデターとも言えましょう。

 

 

 

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キューパ危機とウクライナ危機・・・その五

 冷戦後NATOが初めて甚大な人道主義災難を齎しました軍事介入ですが、時の駐ベオグラード中国大使館も空爆に会い、三人の中国国籍の若い記者も含めて、計29人が犠牲になりました。米国は「誤爆で申し訳ない」と謝罪や賠償もしましたが、中国がかつてハンガリーへの爆撃反対への報復、セルビアの支援で時のセルビア大統領が中国大使館に逃げた込んだためとも言われますし、セルビア地対空ミサイルに撃墜された米軍の次世代ステルス戦闘機「F117ナイトホーク」の破片などの技術を中国に渡さないようにするのが目的との観測もあります。爆撃は米軍のB-2爆撃機が誤差わずか2メートルという高精度の飛行爆弾JDAMによるもので、しかも3発、2発は爆発しましたが、3発目は着弾をしたものの、爆発しなかった。いずれにせよう、極綿密な計算をした「誤爆」に違いありません。 

 東西冷戦時代のユーゴスラビアはバルカン半島の社会主義国でしたが、唯一の非ワルシャワ(WPO)加盟国でした。現在セルビア、クロアチア、スロベニア、モンテネグロに四つの国に分かれていますが、いずれもNATOの加盟を果たしています。コソボも独立宣言をし、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、日本など93カ国から承認を受けていますが、セルビアを始め、ロシア、中国、スペイン、ギリシャ、ルーマニア、インド、ブラジル、アルゼンチン、チリ、インドネシア、南アフリカなど国連加盟国の半数以上にのぼる85カ国が承認を拒否しています。今でもセルビアの頭痛の種です。

 上記ソ連崩壊からNATOの東方拡大、表面上ヨーロッパの問題ですが、その背後にいずれも米国の存在が大きいです。ヨーロッパの問題をヨーロッパが自主的に解決できないだけではなく、北太平洋条約機構まで、アメリカが主導しているからです。もっと戦略的に考えるとヨーロッパ全体をコントロールするため、ロシアという敵が不可欠なので、ヨーロッパにとって、ロシアからある種の緊張や脅威を感じれば、米国の保護傘にありがたいし、言うことも聞いてくれます。

 

 

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キューパ危機とウクライナ危機・・・その四

 しかし、プーチンはさすが戦略的、外交的に敏腕な政治家で、ロシアはハードとソフトの両面において、欧米連合体と腕比べの力がないと分かっているし、国内の難局を乗り越えるため、むしろ欧米の手助けも必要と考えています。「妥協」以外に他の選択肢はありませんでした。また、「妥協」することで、核心的な国家安全利益を除き、ロシアはアメリカの覇権に挑戦することも、対抗することもせず、西側の戦略と政治に容認するかわり、欧米にロシアを認めてもらい、支援も引き出してもらいます。プーチンの「妥協」はあくまでもロシアを再び大国に導くための試みで、強かな戦略を持ち、一種の臥薪嘗胆とも言えるのではないでしょうか。

 2009年、バルカン半島のアリバニアとクロアチアが加盟し、2017年に更にモンテネグロも加わりました。2019年,マケドニアが入り、NATOは5回の東方拡大を経って、現在の30カ国に膨らみました。

 ここで特筆しなければならないのは旧ユーゴスラビア社会主義連邦共和国が1991年に解体した後、旧連邦領内でスロベニア、クロアチアのセルビア系住民とクロアチア系民族らの勢力との戦闘が起こりました。セルビア勢力はセルビア本国の支援で優勢で戦っていましたが、クロアチアは米国の強力的な支援(表には米国の民間会社の支援を称します。)で劣勢を挽回され、セルビア系住民をセルビア本国を目指す避難民にしてしまいました。これらの避難民を時のセルビア大統領ミロシェビッチが南部のコソボ自治州に6000人ほど移住させていましたが、自治州人口の9割を占めるアルバニア系住民は「コソボ分離独立」を訴えて、猛反発しました。

 1999年、セルビア治安部隊とコソボ解放軍との軍事衝突をきっかけに、NATOはセルビアへ78日間も続いた空爆を強行し、「強権」セルビアの「民族浄化」への軍事懲罰がその理由でした。どうも今も同様な理由をたびたび口実に気に喰わない相手国を制裁するためによく利用されています。

 

 

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