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2022年4月

円安の正体(下)

 経済界の試算で、円の価値は対ドルで120円前後まで安くなっても、何とか日本経済に大きな損害を与えず済みますが、120円、125円を超えると経済の立て直しは難しくなります。でも何故日銀は経済に悪いと承知したうえ、円安に介入しないでしょうか。

 経済効果を狙うより、むしろ債務危機を救済することが大事というのが本音ではないでしょうか。1980年、日本の公共債務はGDP(国内総生産)の50%でしたが、1995年は90%になっていました。2000年は140%に達し、2005年は約190%、現在の水準は250%に上り、2009年頃の「ギリシャの債務危機」のレベルになっています。

 量的緩和(通貨の超量発行)を続ければ、世に出回る超量の通貨が債務を希釈することができるのです。また、超量の通貨もより多くの国債の発行を容認しやすくなります。日本の国債は日銀や各銀行が買っているので、主に国民の預貯金から成り立っているため、この債務を希釈されるのは、根本的に国民が所有するお金の価値です。そうです、国民の預貯金の価値が減るのです。

 2021年日本にGDPはほぼ5兆ドルになりましたが、直近の円安のせいで、海外の試算では事実上4.5兆ドルの経済規模になりました。世界4位の経済大国ドイツは2021年4.1兆ドル強のGDPを達成し、その勢いは後数年、3位の経済大国日本を超えるかもしれません。

 円安が悪いと一概には言えませんが、その臨界点の把握は肝心です。1997年のアジア金融危機は米国の利上げで、資金は韓国や東南アジアから米国に戻ったことによって、始めていましたが、当時の日本も輸出強化のため、円安を続けました。結局、東アジアと東南アジアの同時通貨安を促してしまい、金融危機を広げました。

 今回の円安は1997年よりもっと複雑な要因を潜めていますが、20数年間の経済成長で、東アジアも東南アジア諸国も金融危機への対応力が上がりました。円安で、海外の資金が国内から撤退します。日銀の量的緩和で、日本市場に貨幣の流動性を増幅しても、国内の資金も脱日本を加速すると思います。いわゆる「失血」状態に陥ります。「失血」により多くの「輸血」で補填するという悪いシナリオになりかねますし、全面的な危機を招く可能性もあるのではないでしょうか。

 

 

株式会社中和 ラッキー プリント 社員一同

円安の正体(上)

 最近、円対ドルの為替レートは120円の大台を超え、125円にもなりました。130円や135円まで落ちるのではないかと経済界は危惧しています。米ドルの指数とリンクしている円は1ドル=120円は妥当なレートと認識されています。

 円は安くなると、海外が日本製を買いやすくなり、輸出にいいかもしれませんが、日本の消費者は海外商品を購入する際より多くの支払いをしなければなりません。いわゆる通貨安による物価上昇が発生します。世界の基軸通貨のアメリカも国内救済のため、米ドルの量的緩和を続けてきたため、ドル安によるインフレは去年の5月から続いてきています。最近の数字は危険値の5%を超えて、7.9%に達しているそうです。石油、天然ガス、石炭、金属や農産品などの商品価値を米ドルで計るため、ドル安は必然的に価格高騰を齎しますし、地政学上のリスク(ロシアのウクライナ侵攻)も加えて、その値上げに拍車をかけました。まして、ドルに対して、安値を更新し続けている円です。円を使っている日本国民は物価高を余計に感じるはずだと思います。

 1985年プラザ合意後、円の相場は10年間をかけて、250円~80円とほぼ3倍、円高が続きました。1995年~1998年の3年間、80円から150円に約半額、円安に転じました。その後の10年間の乱高下を経って、2008年、米国発の金融危機が発生した後、日本円はイギリスポンドに100%、アメリカドルに50%も価値が上がり、4年間、その価値を堅調に推移しました。その背景に20数年の間に、堅調な経済と好調な輸出が支えていました。

 しかし、今回の円安は違います。国際貿易は3年間の収支赤字が続き、国内経済も回復の兆しが見えず、円を下から支えられる要因がなく、海外投資家もリスク回避の通貨として、円の価値をプラスに判断できません。しかも、米国内のインフレを対応するため、年内の米国の金利上昇を数回行うそうですが、日銀の黒田総裁は量的緩和を続けると宣言しています。「コスト高騰によるインフレは、収入増に繋がらないため、輸入業の利潤と家計が圧迫され、日本経済に損害を与えます。」とは理由のようです。円安は日銀が望んでいることになります。

 

 

株式会社中和 ラッキー プリント 社員一同

ロシア製ガスをルーブルで支払え

 西側諸国の制裁にプーチンも黙っていません。欧米・日本などの制裁側を「非友好国」と認定し、ロシアから天然ガスや液化天然ガス(LNG)を購入する際、取引代金をロシアの通貨ルーブルで支払えという大統領令に署名をし、4月1日から執行します。

 ロシアの銀行をSWIFTから排除され、貿易の国際決済が難しくなる中、ヨーロッパのエネルギがロシア依存という現実があります。アメリアはロシア依存が3%しかなく、カナダの天然ガスもアメリカから輸入しているので、痛みもなにもなく米国追随はOKですが、イギリス、日本も8%ぐらいの依存度で、何とか対応はできるのです。しかし、結束すべくEUの国々は高い依存度で、もはや無傷で相手を苦しめることができません。ロシア製石油や天然ガスを買い続け、銀行間の送金で外貨決済の抜け道も作りました。ロシアのガス会社傘下のガスポロムバンクなど、制裁の対象から外しています。

 G7はルーブル支払いはルール違反と見て、明確な反対をしていますが、ヨーロッパのエネルギ事情は、ロシア抜きで語れない現状がある以上、当面の間はルーブルで支払うためのロシアの銀行に特別口座を開設します。米ドルやユーロなどの外貨を特別口座に送金し、ルーブルに両替してから支払うことになります。

 

 

 

株式会社中和 ラッキー プリント 社員一同

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