2022年11月19日
覇者の交替・・・その四
第二次世界大戦が終了し、米英共通の敵を倒した後、戦後再建や新国際秩序の構築に巡り、既成の覇者イギリスは新覇者のアメリカと水面下で激しい攻防戦を繰り広げられていることは恐らく知らない人が多いです。
戦後の構図は東西冷戦と歴史教科書に書いていますが、米国の覇権を阻止するため、「敵の敵は味方」でイギリスは米国の優勢を弱めるべき、1946年末、イギリスとソビエト連邦とロールス・ロイス社のターボ・ジェットエンジン(ダーウェントエンジンDerwent)など20台の最先端航空エンジンを提供する契約を交わしましたうえ、丁寧な技術指導まで行ったそうです。後にジェットエンジンの技術に遅れたソ連が、模倣製品を経って、BK1という強力なエンジンの開発に成功し、一代の名機ミグ15戦闘機に搭載され、朝鮮戦争の上空でアメリカのF86と戦力に劣らず、戦ったのです。
ではなぜイギリスは米国の国益を無視するまで、先端軍事技術をソ連に渡したのでしょうか。
1945年7月にベルリン郊外の小さいな町、ポツダムでイギリス、アメリカ、ソビエト連邦の首脳会議が行われ、「ポツダム宣言」を出したのは周知の通りだと思いますが、実に会議の中、戦後の欧州における勢力範囲の再分割を反対するとアメリカは東ヨーロッパやバルカン半島のソ連支配を黙認しました。イギリスの顰蹙を買うことになります。更に1945年8月にアメリカは一方的に連合国の戦争支援のため作った法律「レンドリース法」に基づいて、イギリスへの物質提供を停止すると発表しました。新たな物質を必要な場合、現金で、戦時中すでに獲得した物質も等価を支払うようにと明言しました。イギリスに提供した航空母艦も艦載機も即返さなければならないと通告しました。
国民総動員で戦争に力が尽きたイギリスは外貨も金貨も少なく、物質も米国依存になっていたのに、アメリカもこれらの状況を把握したうえ追い打ちをかけるように要求しました。過去の覇者を更に窮地に追い込みます。
株式会社中和 ラッキー プリント 社員一同
覇者の交替・・・その三
ヨーロッパで列強の争いや列強たちがアメリカ大陸における植民地利権の争い、ラテンアメリカの独立運動などに傍観をしているのがアメリカ合衆国でした。1823年、米国は南北アメリカは将来ヨーロッパ諸国に植民地化されず、主権国家として欧州の干渉を受けるべきではないと宣言をしました。いわゆる「モンロー主義」の実践を始めました。その背景に米国が独立を果たした後、その北アメリカにおける縄張り固めが必要で、「先住民の掃討」やアラスカ(当時ロシア領土)から虎視眈々のロシアからの南下を防がなければならないからです。
ヨーロッパのアングル・サクソン人の支配から独立したアメリカのアングル・サクソン人が、「喧嘩と干渉をやめろ」と自国の利益至上を主張し、「孤立主義」とも言われています。20世紀の初頭の第一次世界大戦まで、米国が工業化も果たし、イギリスの国力にも上回っていました。
1939年第二次世界大戦が勃発し、ナチスドイツが戦車軍団の電撃戦で西ヨーロッパや北アフリカに席巻し、孤独なイギリスがドイツ勢力との戦いで不利な戦況の中、親戚同士のアメリカに参戦を求めましたが、イギリスが戦争を続けるための戦費を米国から膨大な借金をし、その借金で米国製の武器、弾薬、戦闘機を買ってドイツに挑んでいました。その点については今日のウクライナも同様です。
しかしながら、日本の真珠湾奇襲するまで米国の参戦はありませんでした。「モンロー主義」による孤立主義の徹底ぶりが伺えます。
余談ですが、2016年アメリカ合衆国大統領選に当選したドナルド・トランプさんも見事に「アメリカンファスト」と提唱をし、公然と「モンロー主義」の旗を掲げました。
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