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天声人語&世説新語

円安の正体(下)

 経済界の試算で、円の価値は対ドルで120円前後まで安くなっても、何とか日本経済に大きな損害を与えず済みますが、120円、125円を超えると経済の立て直しは難しくなります。でも何故日銀は経済に悪いと承知したうえ、円安に介入しないでしょうか。

 経済効果を狙うより、むしろ債務危機を救済することが大事というのが本音ではないでしょうか。1980年、日本の公共債務はGDP(国内総生産)の50%でしたが、1995年は90%になっていました。2000年は140%に達し、2005年は約190%、現在の水準は250%に上り、2009年頃の「ギリシャの債務危機」のレベルになっています。

 量的緩和(通貨の超量発行)を続ければ、世に出回る超量の通貨が債務を希釈することができるのです。また、超量の通貨もより多くの国債の発行を容認しやすくなります。日本の国債は日銀や各銀行が買っているので、主に国民の預貯金から成り立っているため、この債務を希釈されるのは、根本的に国民が所有するお金の価値です。そうです、国民の預貯金の価値が減るのです。

 2021年日本にGDPはほぼ5兆ドルになりましたが、直近の円安のせいで、海外の試算では事実上4.5兆ドルの経済規模になりました。世界4位の経済大国ドイツは2021年4.1兆ドル強のGDPを達成し、その勢いは後数年、3位の経済大国日本を超えるかもしれません。

 円安が悪いと一概には言えませんが、その臨界点の把握は肝心です。1997年のアジア金融危機は米国の利上げで、資金は韓国や東南アジアから米国に戻ったことによって、始めていましたが、当時の日本も輸出強化のため、円安を続けました。結局、東アジアと東南アジアの同時通貨安を促してしまい、金融危機を広げました。

 今回の円安は1997年よりもっと複雑な要因を潜めていますが、20数年間の経済成長で、東アジアも東南アジア諸国も金融危機への対応力が上がりました。円安で、海外の資金が国内から撤退します。日銀の量的緩和で、日本市場に貨幣の流動性を増幅しても、国内の資金も脱日本を加速すると思います。いわゆる「失血」状態に陥ります。「失血」により多くの「輸血」で補填するという悪いシナリオになりかねますし、全面的な危機を招く可能性もあるのではないでしょうか。

 

 

株式会社中和 ラッキー プリント 社員一同

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