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天声人語&世説新語

キューパ危機とウクライナ危機・・・その二

 1989年11月にベルリンの壁が崩壊し、東西冷戦の対峙陣営の片方、ワルシャワ条約機構(WPO)も後に解体しましたが、共通の敵がいなくなったNATO(北大西洋条約機構)もまもなく解体するであろうと予想した専門家が少なからずいました。解体するどころか、段階的に中・東欧やバルカン諸国など旧ワルシャワ条約の国々まで、取り込んで加盟させました。NATOも16カ国から東、東へと30カ国に拡大してきました。いわゆるNATOの東方拡大です。

 NATOは冷戦中、旧ソ連の勢力圏から身を守るための軍事同盟であり、敵の脅威が消えるにつれ、消滅するのが極自然のことだと思います。東西ドイツの統一がNATOにとって、最優先事項であったため、ソ連に譲歩しても、ドイツの統一を達成したかったので、NATOは東方拡大をしないという約束をゴルバチョフ氏と交わしたと考えられます。

 米国の元駐ソビエト連邦大使ジャック・F・マットロック・ジュニア(Jack Matlock)が「正式な条約ではないが、ブッシュ大統領が1990年に統一ドイツ(まだワルシャワ条約機構に属する東ドイツを含む)をNATOに留まることを許してもらえば、、NATOの管轄権は東に移動しない、1インチもしないとゴルバチョフに保証した」と証言をしました。統一ドイツが誕生してからも、しばらくNATOは東方拡大に積極的にしなかったのも、その約束があったとみていいと思います。

 しかし、親米のエリツィン大統領はアメリカ経済学者ジェフリー・サックス(「貧困の終焉」の作者)の指導を受け、エゴール・ガイダル首相が推し進める「ショック療法」がロシアの経済を2年間で破綻させてしまったせいで、西側諸国が約束した外債免除も資金提供も水の泡になりました。民主主義・自由主義に憧れているエリツィン大統領は、西側に手を貸してまで、ソ連を崩壊させて、自分もロシアも西側の一員として受け入れられるのが当然だと思い込みましたのに、考えは甘かった。

 そもそもソ連やロシアを無力させたいのがアメリカで、ロシアを西側の国として、DNAレベルでは不可能だと後にロシア人が分かったのですが、まず自分の地位・覇権を脅かす可能性のあるものを米国にとっては潰さなければならない存在ですし、西方教会のカトリックと東方教会の相違ももう一つ決定的な理由になると思います。

 

 

株式会社中和 ラッキー プリント 社員一同

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