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ラッキープリントスタッフブログ

米英豪「核協力」の本質

 9月15日にアメリカ、イギリス、オストラリアの3カ国首脳がオンラインの共同会見で、計8隻原子力潜水艦の建造について、米英が技術協力をすると新たな安全保障の枠組「AUKUS」を発表しました。軍事のほか、「サイバー、AI、量子技術」といった最先端の分野での技術協力も強化するそうです。中国の台頭に多角的な牽制は目的ですが、事前の根回しなく、唐突な発表なので、同盟国も当惑しています。

 特にオストラリアと4兆円の潜水艦建造の契約を結んだフランスが、いきなりの契約破棄に反発し、駐米大使、駐オストラリア大使を召還しました。後にバイデン大統領からフランス大統領への慰め電話で、フランスの面子が保たれ、すぐさま駐米大使をアメリカに戻しましたが、フランスが米英、オストラリアとの間に生じた亀裂はすぐ消えることはないだろうと思います。

 主導する大国が追従する国々の利益を顧みず、自分の目的達成のみを考えて政策を打ち出すのが歴史上においても珍しいことではありません。18世紀半ばからの産業革命が成功した後、イギリスの優位性が確立され、北米、インド、オストラリアを支配することになりました。ジョージ・ワシントンの「反乱」で、今ふうに言うと「民族自決」を目指して、「日の落ちない国」から独立を勝ち取りました。第1次、第2次世界大戦を経って、衰退した英帝国に取って代わって、米帝国が構築されました。しかし、イギリスにしても、アメリカにしても、アングロ・サクソンが帝国の主導権を握っているのが変わりません。英連邦の主要メンバーである英国、カナダ、オストラリア、ニュージーランドも国民の人種構成を見てみると紛れもなくアングロ・サクソンですし、アメリカに占める割合は22%前後しかありませんが、政治、経済、金融、宗教、文化、社会、世論の主導はまたアングロ・サクソンです。南アフリカも同様です。

 同盟の中心的なメンバーというべきでしょうか、悔しいですが、このアングロ・サクソン集団が現在のアメリカ帝国を支えています。同類や同盟の力を結集し、時の対抗勢力である中国に牽制や抑止をする気持ちは分からないこともありません。しかし、「核不拡散武器条約」の締結国アメリカとイギリスが「南太平洋非核地帯(ラロトンガ)条約」の加盟国オストラリアに攻撃原子力潜水艦技術を提供することになるので、核保有国が公式に非核の国に核武装を手伝うことになります。オセアニア、南太平洋地域にも「非核」の地域ではなくなるし、この非常にまずい前例で今後安易な核拡散も可能になるのではと危惧しています。

 また、アメリカが主導する核保有国ら今まで、北朝鮮の核開発を断じて許せず、イランの核開発疑惑に対する制裁など、ダブルスタンダードに見えてしょうがないです。例えば、中国やロシアもアメリカの主動的な「核拡散」に対抗し、反米のベネズエラやキューバに核配備を協力したらどうでしょうか。尚、パキスタンも米英のロジックに沿って、タリバンやISISに核協力を行うことさえ可能ではないでしょうか。「核」そのものは、使えない戦略的な兵器と言われていますが、戦術的に使える兵器になりつつあります。「核」戦争の脅威も身近に迫ってきているかもしれません。
 

 

株式会社中和 ラッキー プリント 社員一同

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