ホーム>ラッキープリントスタッフブログ>天声人語&世説新語>文明の衝突
データ入稿用フォーム
テンプレートダウンロード
天声人語&世説新語

文明の衝突

中国に対して、先進7カ国は経済利益などの立場が違いますが、「アメリカファスト」のトランプ「独走主義」から「国際協調」に回帰したバイディンアメリカの強い要請によって、G7がようやく中国に強い態度で臨み、一致した声明文を出しました。

G7の会議で、EUの主導権を握るドイツやフランスが中国を自国の経済発展のチャンスと捉えられ、イタリアも中国経済との結びつきが強いです。一方、中国の社会制度や強硬な対外姿勢に異議もあります。米国の強要に縛られている構図なので、中国の人権問題や台湾海峡問題に声明文に盛り込むことに反対意見や激論で、会議中にネット環境が止まったとも伝えられていますが、米国主導の声明文に署名しないわけにはいかず、歩調を合わせた形になりました。

しかし、声明文を出した後に、仏マクロン大統領と独メルケル首相の発言が興味深いです。いずれも「中国に矢先を向けるつもりはない」というニュアンスでした。英国のジョンソン首相も似たようなフォローがありました。中国はG7のメンバーではないのですが、G7の至る所に中国の存在感を感じる会合でした。

イデオロギーの違いは今にできたものではなく、1949年に中華人民共和国が誕生した際に、社会主義国家を宣言したわけです。今になって、もしかしたら、民主主義が社会主義中国との競争に負けるかもしれないという危機感で、今回のG7が声明上の団結を見せているのではないでしょうか。声明は政治姿勢の「虚」の部分で、これから「一帯一路」など中国の影響力を対抗するように、発展途上国へのインフラ整備支援やコロナワクチン支援など、実務的に「実」に移していくのに課題が山積です。

G7の構成を分析すると、先進工業国家の集まりに間違いありませんが、1860年代以来の列強国家でした。国際秩序の主導者と既得権益者でもあります。日本を除いて、ヨーロッパーが作り上げた文明で、大航海時代後の南北アメリカも、またヨーロッパー文明の延長です。特に産業革命が成功した後、個人工房から大規模な工業生産へと世の中の生活や消費様式を一変させたのです。生産力の飛躍的な向上が社会統治に多くの改革や進歩を齎しました。王様の圧政から、人間の権利を解放しました。自由主義、民主主義もこの背景の中に誕生し、市民権を得ました。ヨーロッパー文明も当然ながら、前衛と広範囲に受け入れられ、スタンダードと看做されるようになりました。日本も明治維新で、ヨーロッパー文明の価値観に照準をし、「脱亜入欧」とアジアで一番乗りで、工業化を実現したわけです。

しかし、4000年とも5000年とも言われる中華文明が、ヨーロッパーと全く異なる発展軌跡を辿ってきました。常に広大な国土の統一と中央集権による統治を目指しながら、素晴らしい古代文明を生み出していました。近代、産業革命の波に乗り遅れて、後退しましたが、1978年の「改革開放政策」で、40年をかけて、目覚ましい発展を成し遂げ、人類史上に類を見ない規模の工業化を実現しました。まだ、いろいろな問題を抱えていますが、国民の生活や個人の自由など社会的な進歩も確実に進んでいるし、王様の圧政より、だいぶ自由で開かれた社会になっていますが、中央集権による統治体制は変わらないです。

中華文明は異文化の影響を受けながらも、それに異化されることなく、異文化を自分の中に取り入れ、同化する力を持っている文明です。1910年代頃から、資本主義、民主主義も試しましたが、正当性のどうのこうのではなく、G7は民主主義が肌に合うと同じように、恐らく中華文明は歴史的にDNAのレベルで、現行の統治体制を受け入れているのではないかと思います。

これから、しばらく米国の「覇権ファスト」が中国との間に「新冷戦」へと導いていきます。その行方は推測できませんが、

ヨーロッパー文明と中華文明との「衝突」にどのような「火花」を散るのか、どのような結末を迎えるのかは見守るしかありません。

 

株式会社中和 ラッキー プリント 社員一同

トラックバック(0)

トラックバックURL: https://www.luckyprint.net/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/80

ページ上部へ