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ラッキープリントスタッフブログ

冷戦と新冷戦

10数年前に友人とアメリカについて語った際、美術学校の非常勤講師を勤めている友人は「人種のるつぼで、悲惨ですが、人間の未来である」という意見を思い出しました。イデオロギー、宗教背景、貧富格差の異なる移民がアメリカに集まって、人種も違いますが、共同でアメリカを支えて、人種差別や人権問題と格闘しながら、共存共栄を模索していくのがアメリカの姿です。

主要民族、いやむしろ主要人種というべきアングルサクソンは移民国家のアメリカの20%強占めていますが、政治、経済、金融、軍事あらゆる面におきまして、この20%の人口が独立以来のアメリカ合衆国を240年以上支配してきました。近年、アジアからとりわけメキシコや中南米からの移民が増えることによって、白人の仕事が奪われてしまい、嘗ての白人の楽園が崩壊しつつあります。それはアメリカ社会の分断を招いた根本的な理由ではないでしょうか。

そのうえ、利益追求の資本が実体経済に回さず、金融サービスに一極集中をし、製造業も軍事産業や半導体産業のような高付加価値産業に傾斜しています。2019年の軍事費(7318億ドル)は世界の2位から10位まで足した総額(7257億ドル)にも勝ります。中国の国防費増は年々指摘や非難を浴びますが、2019年は2611億ドルで、GDP(国内総生産)はアメリカの68%ぐらいですが、国防費はアメリカの1/3に過ぎません。GDPに占める割合もアメリカの3.4%と比べれば、フランス、オーストラリアのと同じ、1.9%と低く、ロシアの3.9%、韓国の2.7%、インドの2%、サウジアラビアの8%、イスラエルの5.3%の軍事支出を見てみても、国防費を却って抑えられていることが分かります。

その圧倒的な軍事力を誇るアメリカは、第二次世界大戦後、自ら主導して構築してきた国際組織や国際統治システムを無視や離脱し、嘗ての米ソ冷戦対立のように中国の脅威から自国の覇権を維持するあらゆる手段を駆使します。貿易戦争を仕掛けたり、ハイテク企業をいじめたり、自国の国内法で他国の国内事情を計り、制裁をかけたりします。言わば、一強の時代にアメリカの権益が国際協調よりずっと大事だということになります。

国際社会はこのアメリカの傲慢さを感じ、多少の不満も露わにし始めますが、アメリカ的自由民主主義議会政治や資本主義といった価値を確信している以上、嫌でもアメリカに追従することしかできません。

アメリカ政府はファーウェイら中国のハイテク企業を敵とし、なんでも「国家安全」という一点パリで、強引に排除していきます。自分の権限が及ぶ範囲はもちろんのこと、他国の権限まで圧力を加えることで締めあげようとしています。

数年前のエドワード・スノーデン事件で、アメリカは同盟国を含む監視網をグロバル的に構築していることをよく知られるようになりました。中国の通信機器メーカーや中国発のアプリは、中国政府の意向を伺い、世界から情報を吸い取ることは、明確な証拠もなければ、中国政府も世界監視という野望があると思えません。アップルやグーグル、facebook及びTwitterなどのアメリカビック企業に個人情報を献上していますが、中国の企業なら、ダメという発想はどうでしょうか。

今後5G,6Gの時代にAIが主流の発展を導きますが、Iot(物と物のinternet)で、より多くの家電製品や家具にAIが搭載され、例えば寝室にあるベットの温度までもメーカーが把握することになりますが、利便性よりも不便を選び、個人情報を固く守り抜くか、それとも社会主義のメーカーの安価の製品ならだめで、資本主義のメーカーの高価の製品で利便性を味わいます。

そもそも資本主義も社会主義も人類が国民・国家の文明開化時代から模索し、採用や実践してきた2つの統治モデルに過ぎません。完璧な制度が世の中に存在しないわけで、それぞれ良さと悪さがあり、向きと不向きがあるはずです。「俺が正しい」というのがただのワンマン迷信に聞こえますし、この30年間の中国経済が台頭してきたのも、「社会主義市場経済」をうまく導入してからだと思います。一見社会主義は「計画経済」のはずですが、中国は政治体制は社会主義を採用しますが、経済の分野においては、資本主義得意の「市場経済」に転換をさせたのです。制度上の優勢や劣勢を見極め、お互いにいいところを吸収、改良し、制度そのものの完成度を高めたほうがもっと合理的且つあるべき姿なのではないでしょうか。そうでなければ、民主主義も自由主義も安全保障や人権に拉致され、権威主義に陥ることになるだろうと思います。

 

ラッキープリント スタッフ一同

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