昇華転写について
Q 昇華転写とは?
プリント技術の一つです。昇華型インク(分散染料インク)をインクジェットプリンタで転写紙に鏡像(左右反転)印刷し、その転写紙の印刷面を転写素材の転写面に合わせて、熱転写機(ヒートプレス機)にて、180℃~200℃の高温と圧力を加えることにより、気化したインクが被転写物の分子構造に入り込み、染色する技術を昇華転写プリントと言います。
Q 昇華転写で布生地へのプリントがきれいにできますか?
Tシャツやエプロンなど、布地への印刷は主にシルクスクリーン印刷とデジタル印刷に分かれます。
シルクスクリーン印刷とは、孔版印刷技術の一つで、版にインクを付けて印刷するのではなく、版自体に穴をあけ、そこからインクを擦りつける印刷方式です。
シルクスクリーン印刷は、主に絹・ナイロン・テトロンなどの布地を得意としており、YMCKで色を分解する印刷方法よりも、1色ごとの特色印刷を得意とします。従って、複数の色を使用する場合に多色刷りとなるためにフルカラー画像やイラスト印刷に向かず、単色のものを印刷するのに向いています。また製版が必要となるので、どうしても製版代がかかってしまいます。同じ絵柄を30枚以上印刷して、ようやく安くなる計算です。
それに対して、昇華転写はデジタル印刷技術なので、製版は不要です。一枚でも転写できます。フルカラー印刷やオリジナル印刷サービスに非常に適しています。加えて、昇華転写技術が成熟するにつれ、布生地のみならず、マグカップ、ビールジョッキ、お皿、水筒、コースター、マウスパッド、名刺ケース、タイル、マグネットマット、アルミやガラス板、数々のペット用品、キーホルダーなど、様々な素材を被転写物とできるので、表現の幅が広がります。
Q 昇華転写とコピー転写の違いは?
昇華転写は転写紙にインクジェットプリンタで印刷するのに対して、コピー転写は転写シ-トにカラーレーザー機などで印刷します。
ご存知の通り、フルカラー印刷、特に写真、絵画、イラストなどのプリントにおいて、トナー式のコピー機で出力した場合と、インクジェットプリンタによる出力との品質の違いは歴然です。特に写真のようなきめ細かい諧調(グラディション)が求められるものはレーザープリンターが向いていません。転写の元になる画像の質が落ちれば、高品位の転写もできなくなります。
しかも、ほとんどのコピー機用転写シートに複雑なデザインを印刷すると、はさみやカッティグボロッターで、余白部分をカットしなければなりません。昇華転写は印刷した部分(昇華インクが塗っている部分)のみ転写されますので。よりきれいに転写できるだけでなくコピー転写の煩わしさも省けます。
Q Tシャツプリントについての注意点は?
Tシャツにプリントする際、生地やTシャツの色によって、転写方法を選ばなければなりません。
1)ポリエステル50%以上の生地、色は白や浅い色の場合は
昇華転写のもっとも得意な分野で、昇華インクで出力した鏡像(左右反転の画像)の転写用紙の印刷面をTシャツの転写したいところにセットし、ヒートプレス機で、180℃、60秒~80秒できれいな転写ができます。昇華インクが高温によって気化し、生地の分子構造の中へ染みこみ、通気性に優れて、洗濯にも強い。生地をポリエステル50%以上、色を白や浅い色に限定する理由は、気化したインクがポリエステル素材の分子構造に入り込み、堅牢に付着します。それに対し、綿の場合は捺染はできますが、繊維にしっかり付着しないため、水洗いなどで色が落ちますためです。
また、濃い色の生地であれば、生地の色と気化したインクの色と調色中和し、別の色に変色するからです。市販された白いTシャツの中に、裏側綿100%と表側ポリエステル100%のものがあり、表記上は綿とポリエステル各50%になっていますが、着心地がよく、昇華プリントに適しています。ちなみに、昇華転写に開発されたマウスバットやコースター、財布、鞄、マスク、カード入り、キーホルダー、ジグソパズル、タイル、マグカップなどの表面がほとんどポリエステル布かポリエステル塗装されています。
2)色は浅く、綿50%以上の生地の場合
浅い色用の専用転写紙が必要になります。転写紙が二層構造で、顔料インクや昇華インクで出力した鏡像(左右反転の画像)の転写用紙の印刷面をTシャツの転写したいところにセットし、プレス機で、180℃、6秒~15秒の間でプレスします。表の保護層を剥がせば完成。Tシャツの転写された部分は通気性がなくなり、転写されない部分に比べ、隆起しています。また、転写紙によって、この保護層を剥がすのに、転写後熱いうちにすぐ剥がすタイプと冷却してから剥がすタイプがあるので、転写紙のタイプを確認のうえ、正しく使って下さい。ちなみに、当社が取り扱っているものは熱いうちに剥がすタイプです。
3)生地の色は濃い場合
綿やポリエステルの生地にかかわらず、濃い色専用転写紙を用います。その用紙も二層構造で、ベース白のフィルムにインクジェットコーティングを施されています。その面に昇華インクではなく、顔料インクか染料インク(紫外線に強い顔料インクをお勧めです。)で左右反転の鏡像印刷せず、そのまま、画像を出力した後、裏の粘着面を保護する用紙を剥がしてから画像印刷面を上向きにし、Tシャツの上に乗せます。耐熱隔離紙を覆うようにして、転写機で160℃、15秒~20秒プレスすれば完成です。
厳格に言えばそれは転写ではなく、薄いフィルムを高温、高圧でTシャツにくっつける作業になります。その工程は熱転写とほぼ同じです。Tシャツの表面に薄いフィルムを載せているので、その部分が隆起し、通気性が悪くなります。洗濯などによって、徐々にひび割れが生じたりもします。それを軽減するため、品質のいい転写紙を使いましょう。いい用紙にそもそも弾力が優れるので、ひび割れが生じにくい。またプリント面のコーティングもしっかりしていて、印刷出力がきれいです。当社が販売しているアメリカ製の転写シートは、厳選した質と価格の比に優れている用紙なので、ぜひお試し下さい。
Q 高品質の昇華転写を行うため、どうしたらいいでしょか?
まず熱転写の品質を左右する要素がいくつかあります。
1)原板品質
それは転写品質を決めるもっとも大事な要素で、解像度のよい鮮明な画像にこだわって下さい。腕が立つ料理人が鮮度のない材料で、よい料理はできないと同様です。転写技術はよくても、原板が悪ければ転写品質を望むことができません。
2)プリント品質
転写用プリントのクォリティはプリンタ、昇華インク及び転写紙によって決まります。
プリンタが違えば、プリント結果が違ってきます。また、プリンタ出力に関しても適切な設定でなければ、きめ細かな画像や滑らかな諧調を失います。
昇華インクに品質のいいものは流暢性に優れ、インク詰まりが起こりにくいです。プレスする際、インクが気化し、転写素材の分子構造の中に染みこみ、画像の再現性と持ちの良さがあります。
転写紙がよければ、粒子が細かく画像のカラー再現性やグラデション表現に優れ、転写効率も高いです。
3)転写素材の品質
転写素材(被転写物)の材質やクオリティももちろんですが、昇華転写のため、素材表面に施された昇華コーティングの品質も発色、コントラスト、彩度など転写後の再現性に大きく影響します。
4)よい原板、よいプリント、よい転写素材を揃えれば、よい転写への準備ができたと言えますが、操作性や精度の悪いプレス機を使えば、転写も台無しになります。また、温度、圧力設定などの技術も大事です。
以上1)~4)の転写品質を左右する要素を踏まえて、当社の実写データに基づき、厳選した熱転写プレス機(ヒートプレスマシン)、転写素材と転用紙などの転写用消耗材との組み合わせで、納得のいく転写品質を約束すると同時に、高い転写クオリティーをリーズナプルな価格で実現します。初期導入もランニングコストの安さも業界では異彩を放っています。確かな品質を安く仕上げることで、あなたのビジネスをサポートします。
Q マグカップ熱転写機(カッププレス機)が転写可能な円柱サイズは?
弊社が取り扱っているマグカッププレス機にハイグレードのもの(型番CWMP_70CA)と普及タイプのもの(型番CW-HPM)2種類があるほか、同時に2個ずつのマグ転写が可能なツインタイプ(型番CWST-210)もあれば、30OZなど長尺水筒対応のもの(型番CWCH-LMPW)も用意しています。いずれも転写プラテンが交換できるタイプです。
上級機(型番CWMP_70CA)の本体に11OZ、10OZ兼用転写プラテンと9OZ、6OZ兼用転写プラテンの両方を付属する仕様になり、一回り小さなコーヒカップも製作可能です。
ツインタイプ(型番CWST-210)に2個の11OZ、10OZ兼用プラテンを付けていますが、9OZ円柱形、6OZ円柱形及び12OZ円錐形のプラテン(別売)も交換できます。デジタル温度・時間コントローラーも左右独立に設定、制御可能のため、形や口径の違うマグカップや水筒を左右1個ずつ同時に転写を行うことができます。
そのほかの2種類は11OZと10OZ兼用プラテンのみを付属し、9OZと6OZ兼用プレテンは別売りになります。11OZと10OZ兼用プラテンは、対応口径75mm~90mmになります。9OZ、6OZ用の転写プラテンに交換すれば、直径55mm~70mmまでのものへの転写が可能になります。
従って、昇華転写のコーティングを施されたものであれば、マグカップに限らず、コーヒーカップ、ビールジョッキ、水筒、浴室セットなどにも転写ができます。ちなみに弊社が取り扱う6in1多機能熱転写機(ヒートプレス機)のマグカップ用転写キットに11OZと6OZ用プラテンの両方をつけていますし、8in1多機能熱転写機(ヒートプレス機)は、11OZ、6OZの2種円柱プラテンのほか、12OZと17OZの円錐プラテンも付属しています。
Q A4昇華転写紙(100枚セット)で、マグカップをいくつ転写可能ですか?
イラストレーターやフォトショップなどのソフトでA4用紙を縦にし、三等分(210×99mm)の面付けをしていただければ、コストが1/3になります。したがって、100枚の用紙は300個の11OZのマグカッププリントができる計算になります。
Q 普通の11OZマグカップの転写可能サイズはどのぐらいですか?
マグカップヒートプレス機や多機能機のマグプレスキットで、11OZマグカップの転写を行る場合は、電熱配線の関係でヒートプラテンの周辺に熱が弱く、圧力も中心ほど強くなく、転写ムラを避けるため、大きさは幅190×高80mmまでのデザインを作っていただければと思います。
Q 昇華転写紙とポリエステル衣類専用転写用紙の違いは?
簡単に言えば、転写効率の違いです。普通の昇華転写紙は昇華インクで印刷した後の乾燥時間は短く、転写もすぐ行える用紙です。色調の再現性や豊かな諧調表現が可能で転写率も高く、価格と品質の比に優れた商品です。主に陶器、プラスチックマグカップ、金属や合皮製キーホルダーなどにお勧めです。それに対して、ポリエステル布などの生地で出来た素材、例えば、Tシャーツ、エプロン、スポーツキャップ、マウスパッド、コースターなど、より昇華インクの捺染効果を繊維の中に染みこませるため、ポリエステル衣類専用転写紙が開発されています。転写効率は90%以上と高く、その代わりに昇華インクで印刷した後に乾燥されるまで、気温や湿度にもよりますが、3~4時間かかります。転写は用紙を完全に乾燥してから行う必要があります。転写クオリティーを高めるため、乾燥時間を犠牲にする仕様になりますが、用途によって使い分けていただければと思います。
Q 昇華転写のために専用プリンタを用意しなければなりませんか?
ちょっと高価な昇華インク専用プリンターもありますが、純正昇華インクカートリッジは高いため、家庭用タイプのプリンターに弊社の昇華インクカートリッジを取付れば、コスパに優れるだけではなく、同等レベルの転写印刷ができます。
家庭用プリンターについては、転写紙への印刷は昇華型インクを用いるため、構造上にインク噴射方式の違いでエプソンとブラザーのプリンタしか使えないのでご注意下さい。普通のインクと同様に昇華インクカートリッジの対応機種を確認したうえの購入が必要ですが、エプソンやブラザーの関連機種をお持ちであれば、昇華型インクカートリッジに取り換えれば、手元のプリンターも昇華インクプリント出力機に変身します。
ですが、普通の染料や顔料インクで印刷したり、昇華インクで印刷したり、用途の異なるインクを交換するわずらわしさやインクの消耗が激しくなるのを避けるため、プリンタの混合使用を避けて下さい。
弊社はエプソンとブラザーの該当機種に専用のICチップ対応昇華インクカートリッジを開発し、リーズナプルな価格で販売をしています。普通のカートリッジ交換と同様な扱いになり、だれでも簡単に使えます。